ほうかいのじゅもん

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COVID-19に関する意識の変化を自分自身のツイートから振り返る


はじめに

COVID-19(新型コロナウイルスの流行は社会や僕たちの生活に大きな影響を与えています。
日本では、都市部を中心とした感染拡大、緊急事態宣言、StayHome生活、そして緊急事態宣言の解除、と、この4~5ヶ月間で多くの出来事が起こりました。そしてそれに伴って、僕たち一人一人の意識や認識は目まぐるしく変化してきました。

最近になり、政府主導の緊急事態宣言が全国的に解除され、経済活動が再開されてきました。
そこで、このタイミングで、COVID-19に関する時系列と、それに伴う自分自身の意識の変化がどのようなものだったのか、一旦振り返ってみよう、と思い立ちました。

この記事では、2020年第3週から一週間ごとに、 出来事 記録 意識 の3項目をまとめています。

わずか数ヶ月前のこととは言え、過去の自分自身の意識の変化を正確に辿ることは簡単ではありません。
人間というものは自分の記憶を、都合の良いように改変してしまうものです。「自分はずっと前から注意深かったはずだ」「自分は最初から正しい危機感を持っていたはずだ」という「今」の意識が、過去の記憶を都合よく改竄してしまいます。
そこで今回は、Twitterの自分のツイートを遡ることで、「当時」の自分がCOVID-19をどのように考えていたのかを、できる限り正確に振り返ろうとしました。
また今回は、それと共に、僕が手帳につけていた日記帳も振り返り、そこへの記述も「当時」の自分の意識を辿るための参考にしました。

このように、自分自身のツイートや日記を記録として、辿り、「当時」の自分の意識を、「今」の視点からできる限り客観的に評価して書き下しました。
それと共に、世の中で起こった代表的な出来事をピックアップして並べ、自分の意識がどのように変化していったのかを追うことにしました。

タイトルから、一見して一般的な何かを分析した記事を期待させてしまったかもしれませんが、残念ながらそうではありません。僕個人について、できるだけバイアスを排除した上で自ら振り返ることが目的です。
また、ここまで読んだ方は察したかもしれませんが、今回の記事は、文章がめちゃ多いです。そして、書くのにものすごく時間をかけた割に、ほとんど僕の個人用記録の「誰得記事」となってしまいました。
しかし、こうして自分自身のことを振り返ることで、都合よく改竄していた自分の記憶を修正することもでき、とても有意義だったと感じています。

今回「出来事」を遡るにあたり、以下の2つのまとめを参考にしました。
「出来事」のほとんどはこれらを参照しましたが、それ以外のソースを元にしたものは、記事末に脚注で示しています。

それでは、前置きはこのくらいにして、振り返っていきましょう。


振り返り

第3週: 1月13日-1月19日

出来事

  • 国内初の感染者確認と発表(1/16)

意識

  • 特に気にせず


第4週: 1月20日-1月26日

出来事

  • 武漢市が都市封鎖(1/23)

記録

意識

  • 「中国で変なウイルス騒ぎが起こっているなぁ」
    • 代休で平日に築地へ。同じ海鮮市場ということで、少し嫌な感じはあった。
    • 当時は、築地には中国人観光客と思われる人も大勢いた。
    • しかし、「ここで謎のウイルスを持つ人とエンカウントする確率は低いだろう」くらいに考えていた。


第5週: 1月27日-2月2日

出来事

  • 武漢市からの観光客を乗せたバスの日本人運転手、バスガイドの感染確認(1/28-29)
  • 武漢市からのチャーター機で帰国、3名の感染が確認(1/29-30)

記録

日記帳
中国発のコロナウイルスのニュースが日に日に拡大している。マスクがすっかり品薄。じきに復活するとは思うけど…。このまま3月までマスクないと、花粉症対策ができなくてしんどいのだが…(1/31)

意識

  • ウイルスに関しては、まだ「他人事」。
    • 日記帳で初めて「コロナウイルス」に言及している。
    • そこまで重大事とは思っていない。
    • マスクがなくなって困ってはいるが、長期化するほどの事態だという考えはない。


第6週: 2月3日-2月9日

出来事

  • ダイヤモンド・プリンセス号で複数の陽性者確認、14日間の船上隔離開始(2/5)

記録

日記帳
コロナイウルス、横浜に入港した大型クルーズ船の中で発生して、3000人が14日間缶詰めになるらしい。いよいよ日本にも広がってきたような気がする…。マスクするくらいしか対策できんが…(2/5)

意識

  • 「よくわからんけど、どこにウイルスがいるか分からないし、怖いから手の消毒とか気をつけよう」
    • Twitterで初めて「コロナウイルス」に言及している。
    • COVID-19は、ダイヤモンド・プリンセス号の一件で一気に報道が増え、多少「自分事」に近づいたという印象。
    • この頃から用心のため、アルコールティッシュを持ち歩いて、外食する時は手を拭くようにしていた。


第7週: 2月10日-2月16日

出来事

  • 国内初の感染経路不明な感染者が確認(2/13)
  • 国内初の死者が確認、神奈川県の80台女性(2/13)

記録

意識

  • 「運悪く感染して高熱が出たら嫌だけど、心配しすぎるのも大袈裟だよね」
    • 「運悪く感染者と同じ場に居合わせたら感染するかも」という漫然とした不安を抱いている。
    • 空気感染のようなものをイメージしているらしい。
    • 一方で、池袋に行ったりしている。
    • この時点では、まだ「死亡率は低い」「若者は重症化しない」という認識が強かった。


第8週: 2月17日-2月23日

出来事

  • 政府の専門家会議「不要不急の外出は控えて」(2/17)*1
  • ダイヤモンド・プリンセス号から陽性でない人の下船が始まる(2/19)
  • 岩田教授が告発動画を掲載、賛否両論(2/19)

記録

日記帳
3連休、しかしコロナが怖いのであまり人の多いところには行けん…(2/22)

意識

  • 漫然とした不安から、「電車や人混みは積極的に避けよう」
    • 職場の周囲では、かなり安全サイドの考え方だった。
    • 日帰り出張の電車移動を避けてオンライン会議にする等、自分以外の同僚はそれほど積極的ではなかった。
    • 三連休で、混み合うところに行きたくない、とは思っている。
    • しかし、それはイベントや観光地を意味しており、街中には普通に不要不急の遊びで行っていた。


第9週: 2月24日-3月1日

出来事

  • 政府が「対策基本方針」を発表、テレワークや時差出勤を強力に求める(2/25)*2
  • 北海道知事が道内公立小・中学校の休校を要請(2/26)*3
  • 安倍首相が大規模イベントの自粛を要請(2/26)
  • 安倍首相が全国の小・中・高校・特別支援学校の一斉臨時休校を要請(2/27)

記録

意識

  • 自分が感染するのは避けたいが、国をあげての対応という規模に感覚の乖離を感じている。
    • 我が身に影響する出来事が立て続けに起こり、世の中のフェーズが無関心から関心事に一本進んだ。
    • イタリアの状況に言及しており、欧州での感染拡大が報じられ始めていた
    • ただ、根底には、「この病気の死亡率低いらしいけど」という認識があり、国をあげて騒ぐほど?と疑問に思っている。


第10週: 3月2日-3月8日

出来事

  • 専門家会議が「この一両日で明らかになったこと」で、症状の軽い人、若者からの感染拡大を示唆(3/2)*4
  • プロ野球開幕延期を本格検討、と報道(3/8)
  • 専門家会議が「3密」を提示(3/9)*5

記録

意識

  • 国内で感染拡大が進んでいるのは理解しているが、まだ「死亡率が低いのに、全国的に騒ぐのは大袈裟」という意識。
    • 外出自粛要請、というのを、今より低いレベルで考えている。
    • 用事があるなら人の多い街に外出してもいい、飲み会やイベントはダメかな、くらい。
    • 感染拡大への危機感よりも、野球の開幕延期が残念、せっかくチケット取ったのに…の方が気持ちは大きい。


第11週: 3月9日-3月15日

出来事

  • 中国、韓国からの入国者に2週間隔離するよう要請(3月9日)
  • イタリアが全土に移動制限措置を拡大(3/10)
  • WHOが世界の流行状況をパンデミックと認定(3/12)
  • バッハ会長、五輪は予定通りとしながらも、WHOに従うと発言(3/13)

記録

意識

  • 日本はそれほど大ごとにならず、もう流行が終わったので他人事、という意識。
    • 欧州で感染が爆発的に広がっていることを認識。
    • ただし、ニュースでそう言っている、くらいの感覚。
    • 感染者数や死者数を定量的に見たり、医療などがどのような状況におちいっているか、は理解していない。

第12週: 3月16日-3月22日

出来事

  • アメリカでの感染者数が1万人を超える(3/19)
  • 専門家会議が「オーバーシュート」への懸念を表明(3/19)*6
    • それが起きた場合、医療崩壊が起こり、諸外国のようなロックダウンに追い込まれることになると警鐘
  • 仙台の聖火展示に5万人が殺到(3/21)*7
  • ニューヨーク州がロックダウン措置(3/22)

記録

日記帳
今は日本よりヨーロッパの方がヤバイ状況になってきている(3/16)

意識

  • 「日本の番はもう終わって、今は欧米が大変なことになってるんだな」という慢心
    • それゆえ、野球も1ヶ月後には開幕するでしょ、と思っている。
    • 3密を避ければ、三連休だし、ということで桜の写真を撮りに行く
    • 聖火の引き継ぎ式や、仙台駅での聖火展示が行われている
    • 今となっては、絶対に人を集めることになるのだから、考えられないこと
    • 世間一般にも「もう大丈夫」という油断が見える。


第13週: 3月23日-3月29日

出来事

  • 東京五輪の延期を発表(3/24)
  • 小池都知事が週末の外出自粛を呼びかける緊急会見(3/25)
  • 一時的にスーパーで食料品の買い占めが起こる(3/26)*8

記録

意識

  • 「もしかして、ヤバイんじゃ?」という意識が生まれている。
    • 五輪の延期決定が大きなインパクトを生んでいる。
    • しかし自分はそれでも3/24時点では、まだ「今秋に延期」「五輪が延期になったから夏に仙台で野球が見られる」とCOVID-19の日本への影響はもう終わった、という意識を持っている。
    • しかし、延期翌日、小池都知事の緊急会見が大きなトリガーになり、自分も国民も、危機意識が一段階上がっている
    • 3/25の東京都の感染者数41人という数字もインパクトがあった(それまでは、3/24の18人が最大)
    • スーパーの一時的な混雑や食料品買い占めの動向がそれを表している。
    • 三連休の前まで言われてきた「週末の外出自粛要請」だが、3/25のものは切迫感があり、それまでは「できるだけ遊びには行かないでね」くらいだったのが、このときのものは「基本、外出はするな」という感じだった。
    • 自分も天気の良い休日ながら、スーパーとピザ屋テイクアウト以外は外出を控えている。


第14週: 3月30日-4月5日

出来事

  • 前日(3/29)に志村けんさんが亡くなったと報道(3/30)
  • 政府がアベノマスク配布を決定(4/1)
  • 西浦教授が「80%の接触減をしなければオーバーシュートを避けられない」と会見(4/3)*9
  • 東京の1日の感染者数118人、はじめて100人/日を超える(4/4)

記録

意識

  • 前週に抱いた危機感が高まり、個人的により進んだ対策行動をとり始めている。
    • NYと東京の感染者数比較の報道を見て、明確に「新コロは死亡率は低いから騒ぐほどでもない」「日本の流行はもう終わったから平気」という考えが一掃され、「海外ではガンガン人が死んでいる→日本もそうなっておかしくない」と認識した。
    • それまでの、ぼんやり「なんかヤバそう」という意識が、明確な危機感へと変わった。
    • 4/1の押谷教授が公開していた資料で、3密回避やクラスタ対策、外出自粛が自分の頭の中で繋がったという確かな認識があった。
    • 4/3の西浦教授の会見で、「日本でもNYのようになり得る」と認識


第15週: 4月6日-4月12日

出来事

  • 7都府県に緊急事態宣言が発令(4/7)

記録

意識

  • 「東京もNYのようになったら数万人死ぬ」という意識が根底にあり、それを防ぐために個人ができることを模索している
    • オーバーシュートを避けるための個人の行動をどう実践しようか、という試行錯誤の意識を持っている。


第16週: 4月13日-4月19日

出来事

  • 緊急事態宣言が全都道府県に拡大(4/16)
  • 東京の感染者206人、現時点で1日あたりで最大(4/17)
  • 1人あたり10万円の特別定額給付金を決定(4/17)

記録

意識

  • 在宅生活の中、感染拡大抑制のための自分の行動を試行錯誤している。


第17週: 4月20日-4月26日

出来事

  • 小池都知事「今年のGWはステイホーム週間に」と会見(4/24)

記録

意識

  • 少なくともこの時点で、「オーバーシュートによる医療崩壊」がNYのような危機につながる、と認識している。


第18週: 4月27日-5月3日

出来事

  • 安倍首相が緊急事態宣言の延長を決断との報道(4/30)

記録

意識

  • 感染拡大抑制に対して、かなり安全サイドに立った意識を持っている。


第19週: 5月4日-5月10日

出来事

  • 緊急事態宣言の期間を5月31日まで延長を正式に発表(5/4)
  • 政府が「新しい生活様式」を公表(5/7)

記録

意識

  • 感染者数が減って経済活動を再開することになっても、個々人や商店は、感染防止対策を講じた上での再開にすべき、という意見を持っている
    • COVID-19を意識した生活が長期化することを覚悟している


第20週: 5月11日-5月17日

出来事

  • 39県の緊急事態宣言を解除(5/14)

記録

意識

  • 東京でも感染者数が減少しているというデータを見て安心して良いのか否か迷っている。


第21週: 5月18日-5月24日

出来事

  • 関西2府1県の緊急事態宣言を解除(5/21)
  • 5/25に緊急事態宣言を全面解除する方針、と報道(5/24)

記録

意識

  • 「緊急事態宣言が解除されたら元通りになる」という風潮が高まっているように感じ、疑問を抱いている


考察・まとめ

正直なところ、僕はこの振り返りをするまで、「自分はかなり早い段階から危機意識を持っていたんだ」という記憶を持っていました。しかし振り返りによって、それが都合よく改竄された記憶だったことが分かりました。
僕がCOVID-19に対して明確な危機感を抱いたのは、せいぜい緊急事態宣言の2週間前の第13週頃でした。それ以前の意識では「漫然とした不安」は持っていたものの、たとえば欧米の状況を対岸の火事のように思っているなど、それは危機感と呼べるものではありませんでした。

振り返っていて思ったのは、ある出来事がトリガーとなって、自分の意識が明確に変換するタイミングがある、ということです。
記事中でも繰り返してきたことをざっとまとめると、次のような感じです。

時期 トリガーとなる出来事 自分の意識の変化
第6週 ダイヤモンド・プリンセス号の感染確認 ウイルスに対する漫然とした不安
第11週 欧米での流行拡大の報道 日本のピークは過ぎたという慢心
第13週 東京都の感染者数急増、都知事の外出自粛要請 日本もオーバーシュートし得るという危機感
第14週 専門家会議による強力な接触減の提言 自身の行動変容の必要性を認識

中でも、特に強烈だったのが第13週、3/25の都知事の緊急会見だったと感じています。
その翌日に巣篭もりに備えるためのスーパー買い占め騒動が起きるなど、これは、それまで散々言われてきた「外出自粛要請」とは一線を画するトリガーでした。
その後、第15週、4/7に発令された緊急事態宣言はある意味「後付け」の予定調和だったというように思えます。その前の時点で、危機感や意識は醸成されていて、第15週の時点では「あとは正式に宣言してよ」という状態になっていました。

現在は、これとは逆のことが起こっています。
醸成されていた慎重な意識が、緊急事態宣言の解除と共に弛緩しています。
経済活動と感染拡大対策の両立という新しい状況の中で、自分の方向性を決めるための「軸」を確立しなければ、と考えています。が、ピースがカチッとハマるような感覚には至っておらず、模索中…というのが今の僕の現状です。


おわりに

かな〜り長い記事になってしまったものの、自分自身の考えを一旦ここで整理できたので、満足です。
これからもCOVID-19を意識した生活は、じわじわと長く続いていくことでしょう。
危機感が弛緩したり、またぶりかえして安全サイドに考えるようになったり、を繰り返すことになると思います。
意識は環境に順応して変わるもの、その中で自分を見失わないこと、を心に据えていきたいものですね。

おわり。


参考サイト

*1:「不要不急の外出は控えて」 政府、感染拡大防ぐため(朝日新聞), 2020/02/17 https://www.asahi.com/articles/ASN2J74JVN2JULBJ006.html

*2:新型コロナウイルス感染症対策の基本方針(厚生労働省), 2020/02/25 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599698.pdf

*3:北海道教委、全公立小中の休校要請 あすから1600校(朝日新聞), 2020/02/26 https://www.asahi.com/articles/ASN2V3STHN2VUTIL01Q.html

*4:新型コロナウイルス感染症対策の見解(厚生労働省), 2020/03/02, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html

*5:新型コロナウイルス感染症対策の見解(厚生労働省), 2020/03/09, https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000606000.pdf

*6:新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(厚生労働省), 2020/03/19, https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf

*7:聖火、一目だけでも 仙台、5万人殺到(毎日新聞), 2020/03/22, https://mainichi.jp/articles/20200322/ddn/041/050/009000c

*8:「生活ままならない。疲れた」食品買いだめに客ら悲鳴(朝日新聞), 2020/03/26, https://www.asahi.com/articles/ASN3V3RGLN3VUTIL004.html

*9:「欧米に近い外出制限を」 西浦博教授が感染者試算(日本経済新聞), 2020/04/03, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/