ほうかいのじゅもん

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ヱヴァ新劇場版:Q ネタバレ雑感-劇中でのミサトのふるまいについて

ヱヴァQの公開から間もなく1ヶ月。
今日は近所の映画館のメンズデーだったので、2度目を見てきました。
公式サイトでも本編の映像を交えたPVが公開され、ある程度ネタバレも許される時期になったと考え、要点を絞って思ったことを書こうと思います。
と、言うわけで、以下、ネタバレ注意!!




以前までの序・破が(一部、新展開を予感させながらも)基本的に旧TVシリーズ版をなぞっていたものであったのに対して、舞台はいきなり14年後という「完全新作」で視聴者を驚かせた「新劇場版:Q」。
劇中のシンジ君と共に「( ゚д゚)ポカーン」状態に陥った方も少なくないでしょう。かく言う自分もその一人でした。

ネタバレ雑感と題しましたが、Q全編に関してだらだらと書くつもりはなくて、公開初日に映画を見終え、ネタバレ可のネット掲示板などで他の人の感想・考察を眺めていて自分が気になった点について書こうと思います。

それは、「Qでの葛木ミサトのふるまい」です。
14年の眠りから目覚めて訳が分からないよ!状態のシンジ君に対し「もうエヴァに乗るな」と厳しく言い付け、風貌も言動も様変わりしたかのように見えるミサトさん
そんな彼女に対し、視聴者の次のような意見を目にすることが多くありました。

どうしてミサトさんはあんなに冷たいの?
破で「行きなさいシンジ君!」とか言ってサードインパクト起こす方向に送り出したのはミサトさんじゃん。シンジ君かわいそうなんだけど。

これに対し、次のような返しがされることも散見されます。

ミサトは大佐という役職上シンジに冷たくしているが、破ラストで「行きなさいシンジ君!」と言ったことに対して罪悪感を感じている。
現に彼女は良心の呵責から、DSSチョーカー(シンジの首に巻かれた爆弾)を起爆できなかった。

これらの意見について、自分は「?」と感じました。
それは「ミサトさんが一方的に冷たくて酷い」という点、そして「良心の呵責」という点です。

Qでのシンジ君の視点だけで見れば、確かにミサトさんは過去以上に冷徹で、シンジ君のことをむしろ忌み嫌っているようにさえ見えます。
しかし、シンジ視点を離れたシーンでは、上で語られるように「DSSチョーカーのスイッチを押せない」という一面も見られますし、彼女の中で「過去のミサトさんのような人間らしい部分」がけして消えたわけではないことが読み取れると思います。

しかし、僕の目には、DSSチョーカーを起爆できなかった理由は、「良心の呵責」のためではなく、ごく単純に「シンジへの愛情」であったように見えました。

そもそも、旧新作を通してエヴァに登場するヒロインは3人いて、レイ、アスカ、ミサトです。
レイとアスカがシンジと同年代の女性であるのに対して、ミサトはシンジの保護者としての存在が描かれています。
物語の中で、レイやアスカとは違い、ミサトさんからシンジ君へと注がれる「母性」のようなものを感じた方も多いことでしょう。

旧作では、第12使徒レリエルに取り込まれディラックの海に飲み込まれたシンジを作戦を放棄してでも助け出そうとする、「人一人救えなくて、何が科学よ!」の名台詞で有名な、エントリープラグからシンジをサルベージしようとする、など、ただの「保護係」ではなく、一人の人間としてシンジに愛情を抱いている描写が印象的でした。
(それが所謂「男女間の恋愛感情」なのかは別として)

新劇場版:Qの14年経ったミサトがDSSチョーカーを起爆できなかったときに抱いていた感情も、それと同じなのではないかと思うのです。
もちろん、破ラストで自分が「行きなさい!」と言ってしまったことへの責任もあるでしょう。しかし、それだけではないように感じます。

これは、Q終盤に、覚醒してフォースインパクトを起こそうとする第13号機に対し、ヴンダーですぐさま追尾してそれを止められない状況で呟いた「シンジ君…」という一言にすべて現れていると思います。
ただ一言の台詞だけでこういったことを表現するとは、声優さんの演技って凄いですね。

ちなみに、「じゃあ『ミサト!DSSチョーカーを(押しなさい)!』と言ったリツコさんは冷徹人間になっちゃったの?」という意見もあるかもしれません。
これに関しても、リツコさんもミサトさんほどではないにしろシンジ君に愛着は持っていたはずで、あのときその言葉を放ったのは、副艦長として作戦行動を躊躇っている艦長にその提案をするのは当然の責務であったから、と考えます。
仕事で自分を殺すところは、リツコさんも変わってないなと思うのです。


結局、かなり長くなってしまいました。
エヴァQに対する批評の中ので一部の人が語ることに関して、少し引っかかることがあったので記事にしてみました。

1回目を見たときは、勢いに圧倒されて終わってしまいましたが、やはり2回目を見ると、いろいろ考えながらスクリーンに齧り付けますし、何より2回目であっても最初から最後まで丸ごと楽しめたので、やはり凄い映画なのだなと思います。
はやくBD発売してほしい!