先日のことになりますが、2011年12月4日(日)、自分が所属している大学の吹奏楽部の定期演奏会で、鹿野草平作曲「よみがえる大地への前奏曲」が公開初演されました。
「曲の初演」という記念すべきステージに載らせて頂き、自分としても大変光栄に思っています。
というわけで、奏者の立場から、「よみがえる大地への前奏曲」について思うところを書きたいと思います。
恥ずかしながら、俺は音楽的なことに関しては浅学非才なもので、詳しく語ることは出来ません。
そのため、専門家の方から見れば鼻で笑われるような「かんそうぶん」になってしまうかとは思いますが、どうかお付き合いください。
鹿野草平さんは、2010年の課題曲「吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫」(らきすたに似ていることで話題に)で有名ですが、今年放送されたアニメ「フラクタル」の音楽監督をなさるなど、多岐にわたって活躍されている作曲家です。
その鹿野さんが今回、とある会社の企業イベントのために依頼され書き下ろした作品が、この「よみがえる大地への前奏曲」、略して「よみプレ」です。
2011年という年をあらゆる意味で象徴する東日本大震災に際して書かれた作品でもあるため、この作品を演奏する企業イベントを宮城県で開く運びになり、自分の大学の吹奏楽部に初演の声を掛けて頂いた、ということです。
この曲を当部の定期演奏会の最初に演奏することになり、曲が届いたのが本番の約1ヶ月前。
それまで、演奏する曲にはプロが以前に演奏した「参考音源」があるのが当然であった自分達は、初めは戸惑いこそしましたが、しかし確実にこの曲に魅せられていったように思います。
この曲が練習のレパートリーの中に入ってから、確実にバンドの音が変わりました。
先ほどから繰り返し述べているように、この曲は、とある企業のイベントという一般には非公開な場で初演されました。(定演では「公開初演」ということになります)
企業イベントでのお客さんは、必ずしも音楽に精通した方ばかりではありませんでした。
鹿野さんもその点に留意して作曲されたものとは思いますが、端的に言ってしまえば、この曲は難しい専門知識(○○風の音楽、主題・展開部・コーダ…等々)がなくとも、よく耳に馴染み、音と一緒になって盛り上がれる曲です。
そして、繰り返し聴けば聴くほど、よく味が出てくる曲でもあると思います。
定演でも、57人のバンド全体の魂がこもった熱い演奏であったと思いますし、お客さんにもそのことが音楽を通して伝わったものと確信しています。
この曲は、東日本大震災のために捧げられた曲です。
しかし、そこに込められた想いは、「哀悼」というよりもむしろ「復興」に近いでしょう。
初めは、この曲に対しては拍手をご遠慮頂くようなアナウンスをしようか、という案もあったようですが、しかし俺は、演奏後、客席からの割れんばかりの拍手(※思い出補正あり)を受けて、「ああ、これでこそこの曲は完成したのだな」と身に染みて感じました。
曲の中で何度も繰り返され、フィナーレでは盛大に奏でられる主題も、後ろを振り返るのではなく、あくまで「よみがえる大地」への意味が込められていることは明らかでしょう。
この曲が、当部の演奏だけで終わらず、これからも末永く演奏され続けられる曲になってほしいと思います。
そしてその時は、「これ初演した俺らなんだぜ!」とドヤ顔をしたいところです。
ちなみに、↑の写真は定演の日の朝、会場に向かうときに見えた虹です。
この光景が、定演の成功を暗示していたと言ってもあながち誤りではないと思います。
というわけで、今年の定演も思い出に残る良い定演になりました。
Wikipediaの鹿野草平さんのページに「よみがえる大地への前奏曲」の文字を見つけて嬉しくなった今日この頃、これを以て定演総括に代えさせて頂きます。
あっ、あと録音聴いたら俺のsolo全然上手くなかった;; すみません精進します。